GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~

「瀬里を殺さないと約束するなら、律に私の血をあげる」

律が参ったというように天井を仰いだ。

「……分かったよ。まあ、ファシネイティングブラッドさえ手に入れば俺達は向こう百年安泰だし。いいよ、瀬里を殺さないと約束する。暗示だって解いてあげるよ」

律が一旦言葉を切ってから再び唇を引き上げて私を見た。

「盗み聞きしてたなら分かるよね、俺達の事情。もう、百年前のファシネイティングブラッドが切れるんだ。そろそろ次のを飲まなきゃならない。モタモタしていられないんだ」

「……分かってる」

「じゃあ……次の満月にしようかな。月が最大に満ちた夜はファシネイティングブラッドの威力も増すと清雪様も仰っていたから。その時に瀬里も連れてくるといいよ。暗示も解いてあげるからさ」

「分かった」