GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~

「ごまかさないでいい。もう知ってるの」

たちまち律の表情が無になっていき、いつものような優しい眼差しが冷たく変わる。

重苦しく感じた沈黙の後、唇だけで律が笑った。

「ふーん……」

それからその微笑みが邪悪なものに変わり、私を捉える。

痛いくらい脈打つ心臓を感じながらも、私は続けた。

「Fascinating blood……私、魅惑の血の持ち主なんでしょ?」

律の表情がみるみる険しくなり、私を射るように見据える。

「……盗み聞きするなんて、悪い子だね」

律の憮然とした表情を見て私は血の気が引く思いがしたけれど、もう後には戻れない。

そんな私に律は続けた。

「じゃあ遠慮なく言うけど……ねえ……俺を助けてくれないか?君が必要なんだ」

もう覚悟は出来ていた。だけど、これだけは譲れない。