GREATEST JADE~翡翠の瞳に守られて~

「藍……?」 

訝しげに律が私を呼んだ。

声が震えそうになって、返事が出来ない。

「藍?なんで泣いてるの?」

リビングのソファに座っていた律が、心配そうに立ち上がった。

私は夢中で首を横に振った。言わなければならない。

私は何度か大きく息をすると律を真っ直ぐ見つめた。

「律」

「……」

律も私を真っ直ぐに見る。

「律。私、律が好きだよ」

律は微動だにせず、唇を引き結んだ。

「だから……律に私をあげる」

「なに?……どうしたの、藍」

ポロポロポロポロとこぼれる涙がやがて筋となって頬を伝い、私はその涙の向こうの律を見つめ続けた。