嘘みたいだと思った。

ヴァンパイアも、ファシネイティングブラッドも。

膝を抱え湯船に浸かっていると、今までに交わした律との会話が頭に浮かぶ。


『藍が、淋しそうだったから。俺も……独りだから。ずっと孤独だったから。だから藍の気持ちが分かるんだ、痛いくらいに』

『 藍。もう孤独をやめよう?』


……この律の言葉を、何の疑いもなく私は信じた。

早すぎる展開に何の疑問も持たずに。

……律は次のファシネイティングブラッドの確保に焦っていたんだと思う。

だから私を見つけた時、どうにかして私の心を掴み、自分を信用させようと必死だったんだ。

きっと律は、気づかれないようにしながら私の弱点を探していたのだと思う。

そして見つけたのだ、私の弱点である『孤独への恐怖心と飢えた愛情』に。