信号が青に変わり、雪野一臣がアクセルを踏みながら言った。

「俺が絶対に守ってやる」

言われてすぐに、右隣の彼の顔を見上げる。

真っ直ぐに前を向いている綺麗な横顔を、私は不思議な思いで見つめた。

言葉なんか出てこない。さっきの出来事が作り話のようだ。

でも、確かに雪野一臣はたった今、私に『守ってやる』って。

「……私を?」

やっとの思いで口から出た私の言葉は掠れていた。

「守ってやる」

ありがとうと言うべきなのに……。

「ごめん……なんか実感が」

「もし不安なら……瀬里の家に泊まるか?俺の家でもいいが、お前は未成年だし男の家となると」

私は首を横に振った。

「いい……独りでゆっくり考えたい」

「……そうか。分かった」

これ以上、私たち二人に会話はなかった。