篠田冬季はウィッグを被り直すと救急道具を持って部屋を出て行こうとする。 そんな彼女を俺は呼び止めた。 「なぁ、お前の名前は?今、名乗ってるのは偽名だろ?」 名前なんてどうでも良かった。 でも、聞かずにはいられなかった。 多分、俺は──。 振り返った彼女は冷たい眼差しで俺を見つめながら己の名を口にした。 篠原冬雪──。 それが俺に微笑んだ悪魔の名前であり、一目惚れした女の名だった……。 ≪良威side end≫