そういえば、真尋の店に美人を連れて行く約束をしていたんだったと思って、先週、此処へ彼女らを連れてきたのだ。

 あれから、亜紀たちは、すっかり真尋が気に入り。

 コンパに真尋も呼べと言って、普段、積極的に話しかけたりしない航にまで懇願していた。

 小宮さんはどうしたんですか、亜紀さん、と思いながら、嬉しそうに真尋と話す亜紀を見る。

 っていうか、みんな、大魔王様は苦手なくせに。

 ほぼ同じ顔なのに、やっぱり真尋さんとは緊張せずに口きけるわけですね、と思いながら、遥は、ひとり騒ぎから離れて、紅茶を飲んでいた。

 みんながタウン誌を見て盛り上がり始めた頃、端に座っている遥のところに来た真尋が、
「遥ちゃーん?
 俺、落ち着いた美人を紹介してって言ったよねー」
と脅すように微笑んでくる。

 た、確かに、店内がかなり騒がしくなってしまっていた。

「す、すみません。
 でも、落ち着いてない美人でもいいって、あとから言ってたじゃないですかー」
と訴えると、まあ、いいけど、と言ったあとで、真尋は、

「じゃあ、今日は此処出たら、駅で待ってて」
と言ってきた。