「なんでだ?」
と当たり前だが訊かれ、

「なにかこう、まどかさんに悩み事を相談したい気持ちなんです」
と誤魔化す言葉も思いつかず言うと、航は何故か、動揺する。

「……俺はまどかになんか、なにも相談してなかったぞ」

 ……言ってません、そんなこと。

 話しかけてたんですか? 課長、と思いながら、

「すみません。
 まどかさんとちょっとお話してみたかっただけです」
と言うと、

「話しかけても、まどかはオウム返しに返してくるだけだぞ」
と言う。

「インコなのにですか?」

 沈黙が訪れたとき、程よく、電車も訪れた。