好きになれとは言ってない

 いい家族だな、と思う。
 しかし、この家庭環境では外泊とか出来そうにもないなと思ってしまう。

 まあこの家族が大事に守ってくれていたから、今の遥があるのだろうが。

「ほら」
と切った携帯を返すと、それを握ったまま遥が背中から、

「課長」
と呼びかけてくる。

「私ね。
 今日、課長と帰りたかったんです」

「……なんでだ?」

「さあ……わかりません。
 課長」

「なんだ?」

「爆発しました?」

「なにがだ」

「ベテルギウスですよ」

「当然のように言うな。
 いきなり爆発しました? とか言われたら、ガス管かなにかだと思うだろうが」

「課長ならわかると思ったんです」
と言う遥に、

「……航だ」
と言う。