好きになれとは言ってない

「おんぶしてあげようか?」

 特に下心もなく、ほんとに子どもに言うように言ってしまう。

 遥が本気で弱っているように見えたからだ。

「うう。
 結構です。

 すみません。
 大変ご迷惑をおかけしました。

 土下座したいところなのですが、お尻が痛くて立てません」
と言うので、

「そりゃそうだろうね……」
と言った。

 っていうか、此処で土下座したら、また転がり落ちるけど、と思っていた。

「そのまま、少しじっとしてたら?」

「はい。
 ありがとうございます。

 どうぞ、小宮さん、行ってください。
 すみませんでした」

「いや、僕もう仕事終わってるから」
と言って、そのまま側に居る。

 少し痛みが治まったのか、顔色がちょっとよくなった遥が、
「大丈夫です。
 大丈夫ですから。

 あ、でも、そうだ。
 助けていただいたお礼になにか奢りますよ」
と言ってきた。