そんな陸上部に特待生として入った短距離専門の私の日課は、朝早くに登校して、自主練をすること。

雨だろうと雪だろうと関係ない。毎朝7時過ぎには学校に来て、グランドの土を踏む。

それは中学生の頃から続けてきたことで、むしろ、朝練をしなきゃ落ち着かないんだ。


部活ばっかりの私だから、あんな手紙を貰ってもどうしたらいいのかわかんない。

漫画とかドラマとかだったら、あまーい恋が始まったりするのかなぁ……。




──ピッ!

グランドに短いホイッスルの音が響く。

それを合図に地面を蹴ると、爽やかな風が私の横を通り抜けていった。


100メートルの距離を走り終え、タイムを計ってくれているマネージャーで1年生のトモちゃんに駆け寄る。


「……どう?」

「12.35です」


タイムを聞くなり、無意識のうちにがっくりと肩を落としてしまう。

1本目じゃないにしろ、せめて12.3秒は切りたかったのに……。


「千鶴先輩、ちょっと休憩したらどうですか?さっきから走りっぱなしじゃないですか」

「うーん、そうだね。ちょっと休んでくる」


トモちゃんからタオルを受け取り、私はグランドの脇にドサッと腰を下ろした。