「いつか、ちゃんと幼なじみに戻るからさ。最初で最後の情けだと思って……ちょっとだけ、時間くれよ」


耳元で響く康介の声が、僅かに震えた。

康介とずっと笑い合っていたい。康介を選ばなかった私が、そんなことを言えるはずもない。

だから信じよう。いつか戻ると言ってくれた。康介のその言葉を、一点の曇りもなく信じるんだ。

それが、私に出来る唯一のこと。


「ありがと、康介。私のこと、好きになってくれて」

「……ん」

「こんなに真っ直ぐ康介に想われたことは……私の、一生の誇りだよ」


康介が、私の肩に顔を埋めた。その背中に、そっと手を回す。

最初で、きっと最後。だからしっかりと刻みつけると心に決めた。太陽みたいに温かい、この熱を。


「絶対……幸せになれよ。相手の正体を知らないってんだから一筋縄ではいかねーと思うけど……それでも、諦めるんじゃねぇぞ」

「うん……っ」

「近くで見守るのはまだ無理だけど……誰よりも応援してる。この気持ちは嘘じゃねーから」


ありがとうの言葉を、何度言ったって足りないなぁ。

最後の最後まで、私の背中を押してくれる。不器用な優しさで私を包み込んでくれる。