むすっと唇を尖らせていると、康介が私の顔を覗き込んできた。


「……やっぱ違和感あるわ。お前と登校するの」

「あはは、いつも私が先に行くもんねぇ」

「朝のうちはグランドが使えねぇんだっけ?」


康介の問いに、はらはらと舞う桜を横目にこくりと頷く。


「そうそう、機材の搬入とかで。そういうのは春休みに済ませておいてほしいよねぇ」

「バカ、春休みだったら朝練どころか部活自体に影響あったかもしれねぇんだぞ」

「……あ、そっか。どうせ放課後には終わってるんだし、丁度いいのか」


なるほど、そうかそうか。うっかりしてた。

うっかりしてたけど……康介にバカって言われるのは癪だ。進級ギリギリだったくせに。


「クラス、どうなるんだろうね。最後の最後にあんたと一緒だったら笑うんだけど」

「なんでそこで笑うんだよ。一緒がいいって思ってるくせに」

「はぁ、真田は理系に変更してクラス被らないし、憂鬱だなぁ」

「おい、渾身のボケを無視すんな」