頷く宮崎に、茜はほう?と首をかしげた。
わざとらしい茜の反応がなんか笑える。
わたしはと言うと、話したことすらなかったのに王子に名前を知ってもらえていたことに驚きを隠せず、思わずなぜか足を抱えて丸くなった。
「…ねえ、だからパンツ見えるってば」
「……」
「藤野今宵」
「……え、あっ、はい!」
「見えてる」
「え、…うぎゃっ」
本日2回目の、慌てて正座。
なにしてんだ、わたし。
恥ずかしすぎて、無意識のうちに顔に熱がたまり始める。
「え、え、待って、ちょっと今宵こっち来て!」
「ぐえっ」
ネクタイを引っ張られて首が締まり、可愛くない声が出た。
この状況で可愛い声が出せるやつはいないと思うけど。
茜に引っ張られ少し宮崎から離れたところで、耳元で話しかけられる。
「ちょっとどういうこと!」
「ひゃいっ、待ってくすぐったい」
「なにかわいこぶってんの、あれどういうことなの」
「あれって?」
「宮崎のこと!」
あ、宮崎のことね、はいはい。
「宮崎はあくまで王子であってうちら一般市民との繋がりはないものでしょ。てか今までなかったでしょ。イケイケ女子じゃないんだから」


