とりあえず今すぐ千を召喚してこの茜を見せてやりたい。


どこにいるんだ、千のやつ。


今出てこなくていつ出てくるというのだ。


ぴょんぴょん跳ねるのをやめてしまった茜に残念がりながらわたしはすぐそこの自分のクラスを指差した。



「教室着いたら見てみっか」


「よしゃ! えーと、これまでの手紙、何だったっけ?」


「〝今宵、貴女の〟だよ」


「おーそうだ、それだ!」



茜の指が華麗にパチンと空気を切る。


廊下に響いたその音に何人かが振り返って、茜を見てちょっと微笑む。


さすが隠れファンの多い人気者。



「続き一気に2つも知れちゃうとか得した気分なれるね、今宵」


「確かにね」


「でも昨日おまえサボりまくるしお昼も帰りもすぐどっか行っちゃったから、昨日は1日やきもきしたんだよなー」


「ごめんごめん」



許してくれたものの、ちょっと棘のあった茜の言い草に昨日は確かに悪かったと思った。


わたし、悩むとそのこと以外のことがおろそかになること、どうにかしなきゃならないよね。


ちょっと、サボり癖つくのも良くないし、気を引き締めていかなきゃだよね。