困惑するわたしを一瞥した宮崎は、わたしに封筒を押し付けて立ち上がった。



「パズルさんとやらの気持ち、考えたらどうなの」


「……」


「俺だったら、せっかく書いたものを呪いって決めつけられて要らないって言われたらキツイ」


「……うん」


「よく考えたらいいよ」



宮崎は少し空を仰いで冷たい口調でそうこぼして、屋上の扉の方へ歩いていく。


わかってる。


本当はそんな噂聞いたことないこと。


中谷さんから聞いたことでやっぱり怪しいこと。


3日連続で手紙をわたしの靴箱に入れることは簡単に済ませることではないこと。


パズルさんが幽霊まがいのものとした時、封筒を触ることが出来ないかもしれないこと。


それが出来ないとすれば、リアルを生きている人間からのものだと断言できるようになる。


というのを踏まえて、…いや、踏まえずともわたしはちゃんとわかってる。


ちゃんとパズルさんの目線になって、考えられる。



「待って」



もう屋上を出て行きそうな宮崎の背中に話しかける。


ぴたりと止まってくれたその背中は振り返らない。



「届けてくれてありがとう」



数秒して、宮崎がひらりと片手を上げて出て行った。


……かっこつけめ。


わたしは封筒を胸に押し付けた。


パズルさん、ごめんなさい。


ありがとう。