自分の心の中でたくさん保険をかける言い訳を考えながらも、わたしの手を引く千の後ろ姿を見る。
ごめん。
いや、それよりも。
「ありがとう」
千が心配してくれていることに感謝しなくては。
「おまえのお守り面倒だからもううろちょろすんな、ばか」
「おい待て、ばかばか言いすぎじゃないの。軽く傷つく」
「今宵にはこれくらいが丁度いいだろ」
「はぁ?」
ドを超えたMだとでも思われてるのだろうか。
冗談じゃない。
むう、と口を結んでいると人通りの少ない廊下でピタリと千が止まる。
「……先輩になに言われた?」
「え?」
「何かされた?」
「え、えっと……いや何も」
何もなかったわけではないけれど。
色々言うと先輩のメンツが丸つぶれだから何もなかったことにしなきゃ。
先輩は、我が校のホープだから。
その翼をわたしが折るわけにはいかない。
「本当に何もないわけ?」
「ない」
「……あっそ」
断言したわたしを未だしらーっとした目で見ながら千はわたしの手を離した。
「何かあっても知らねーからな」
「うん」
大丈夫、自分の身は自分で守る。


