あと一欠片のピース





わたしなんかを抱きしめるとかどんな気の迷いだ。


近寄ってくる女はいくらでもいるくせに先輩ったら。


……ストレス溜まってんのかな。


ってそんなこと今はいいんだ。


ちょっと先輩の言いたいことも気になるけど、封筒のパズルの行方の方が気になる。



「次会った時にちゃんと話聞かせてください」


「……いや、やっぱいい」


「え、でも気になるんですが」


「いい。いいから。えっと、また!」



え、ええええ。


やっぱいいって、あんなことしといてやっぱいいって。


先輩、ほんと何なんですか。



慌てたように走り去った先輩の後ろ姿と、鳴り響く予鈴のチャイムに呆然と立っていると、背後から腕を引かれた。


背中から転びそうになるのを踏ん張って体を斜めにしながらわたしを引っ張るひとを見る。



「あれ、千?」


「何してんだバカ」


「バカとは何だ」


「先輩に拉致られるし、チャイム鳴ったのに教室来ないし、ほんとおまえ何してんだよ。バカすぎ」



その声音はどうやら怒っているらしい。


確かに千の言い草を聞いていると自分がバカだと感じる。


……悪かった。


千との話を中断させてしまったし。


まあ中断させたのはわたしではなく先輩だけれど。


それでも、拉致られてしまったのはわたしが弱っちいからだ。


拒みはしたけれども。