「別に千には関係ないから気にしないで」


「関係なくないし、気にする」


「いや、関係ないんだってば」



何が関係あるって言うの?


わけわかんないし。


口が裂けても宮崎のことで悩んでたなんで言いたくないし。



「そんなことどうでもいいじゃん」


「どうでもよくないんだけど。俺、真剣なんだけど」


「もうなんなの、千うるさい。後にして」



こんなところで喧嘩してたら千のファンに殺される。


別に千とは学校で全く絡まない訳ではないけれど、でも千の周りにいるようなギラギラ系女子は苦手だし、何より怖い。


一刻も早くここで話をするのをやめなくては。



「今宵!」


「え」



千になぜか強く呼ばれたと思ったら、それもつかの間、ぐんっとシャツの後ろ襟を引っ張られる。



「え、うえええっ」



突然のことで訳がわからぬまま、首根っこを掴まれてずるずると後ろに引きずられる。


待って、誰だこの人何してんだ。


助けを求めるように茜と千に手を伸ばすが、その手は掴まれることがなかった。


困惑する2人の顔に、もしかしてやばいやつに連れて行かれるのかと思ってぞっとした。


周りが私を見て騒めくのを感じながら、どうやら自分が進む道をみんな開けてくれていることに気がついた。