少しのシンキングタイムを経て、茜は右手の人差し指を立てた。



「ううん、可能だよ」


「無理だって」


「前日に仕込んでおけば、宮崎にだって可能だよ」


「……ああ」



なるほど。


…いや、なるほどだけどさ。



「じゃあなんで宮崎からってことになったの?」


「えー……女の勘」



あっけらかんとそう言い放つ茜に、心底疲れると思った。



「適当だな。しかも茜、それ使い道違くない? 男が悪さした時とかに使うんじゃないの?」


「え、あれ、そうだっけ?」


「わたしもわかんないけど」


「なんだよ、わかんないのかよ」


「だってわたし馬鹿だから自信ないもん。それにそんな知識無くても困らないし生きていけちゃうもん」


「確かに困らないし生きていけるね、うん。まあさ、とにかく、宮崎かもって視野に入れてみれば?」



なんで宮崎かもって考えになるのかさっぱりわからない。


ほら、わたしって馬鹿だから。



「恋する乙女は自分に都合が良いように考えちゃえばいいんじゃない?」



茜はそう言ってへらりと笑うけれど、それって、期待してもし裏切られたら結局辛いのはわたしじゃない?


そう思いつつ、少しだけ宮崎を視野に入れて考えてみるか、と思う自分がいて、うんざりした。



ほら、女子っぽい。