だけど、涙がこぼれる前に背中を押されて。
「……え、あれ?」
触れ合うことはできないはずなのに。
どこかあたたかい感じに驚き、真尋を見やるが、
『ほーら、早く行けって』
真尋は、わたしに背を向けていた。
その背中はなぜか哀愁の漂うもので、気が付いてしまった。
きっと気が付くべきではなかったのだけれど。
「………真尋、ほんとにありがとう」
『うるさいなー』
「あのね、わたし、真尋のこと大好きだよ」
『知ってる。真尋もだよ』
「生まれ変わったら、また真尋と親友になるよ」
『ありがとう。ほら行きなって今宵』
「絶対、真尋のこと見つけるから」
『はいはい。彼氏面しないいで、ほら』
「真尋、きっとまた」
『もう今宵、……うるさいって』
「………うん」
うるさくしてたんだもん。
でもそれも、ここまでみたい。
渋々、前を向く。
揺らぐ視界にいる彼女が揺れたから。
彼女が今にも顔を覆ってしまいそうだったから。
きらきら揺らめく彼女が、少しずつ透けていたから。
もう彼女がわたしの後ろにいるのか、わからない。


