真尋に対しての涙が枯れることは、もしかしたら、いや、もしかしなくとも、一生ないかもしれない。
やっぱりふとした時に、涙がにじみ出るから。
だけど、わたしは進まなきゃならない。
真尋が自分を犠牲にしてまで救ってくれたわたしを。
わたしを、大切にしなくてはならない。
それが出来るかは別として。
『いやいやぁ、今宵なら大丈夫でしょ。今宵のこと心配してないもん』
ふと、からりとした爽やかな声が聞こえた。
涙の視界の中で、ふんわりと揺れる中学の制服のスカートが見えた。
仏壇に寄りかかり、人差し指を頬にさして口角を上げて笑む真尋が、そこにいた。
「……げ、んかく?」
驚きすぎて、涙が止まった。
わたしの呟きに小さく吹き出した真尋は、ふるふると首を振った。
「ま、まひろ…っ」
手を伸ばせば、ちょっと悲しそうに微笑まれた。
あ、……手は、繋ぐことができないのかな。
きっとそうなのだろう。
真尋の手は、後ろで組まれているから。
「真尋に言いたいことたくさんある」
『多分全部聞いたかな?』
「もっとある。足りてない」
『んー、今宵の束縛なら本望だけどちょっと怖いかも』
真尋と共にわたしは生きたいくらいに、足りてない。


