真尋のことを優先したい、なんて言ったら蒼馬くんはどう思うだろうか。
そもそもこんな風に悩んでいたって、蒼馬くんと帰る約束があるわけではないのだけれど。
「今宵ちゃん、無理に今日にしなくてもいいよ」
「いえ、空いてるので大丈夫です」
「本当に?」
「はい。真尋のことで話って、何ですか?」
「ちょっと時間もらうね」
頷いたわたし。
少し前ほど、真尋の話を聞くことを怖がっちゃいない。
だって、真尋はわたしにとって決して悪い存在ではないのだから。
まっすぐに先輩を見る。
この人はいつもこうだ、そう思った。
真尋のこととなると、いつも真剣だ。
だから、それと同じだけの真剣を返さなきゃならない。
ちなみにそれは、使命感だけではなく、自分がそうしたいから。
一通り、真剣な瞳がわたしに語りかけた後、ふんわりと柔らかく目が挟まった。
「というわけなんだけど、どうかな」
「もちろん行きます。行かせてください!」
前のめりになってそう言えば、先輩は「そう言ってくれると思ってた」と朗らかに笑った。


