「俺ね、自分のこと見てくれてる人見つけたら心に区切りがついたんだ。だから今、終わらせたい」
「今?」
今終わらせるって、どうやってやるんだ。
千の言うことがよくわからない。
「今宵」
「え、何?」
真剣な顔になった千が、わたしに向き直って見つめてくる。
何だ何だ、どうしたんだ、千のやつ。
「俺、今宵のことがずっと好きだった」
にっこりと柔らかく慈しむように笑う千。
一瞬、千の言葉が理解できなかった。
「わ、わたし?」
「そう」
「え、待って、なんで? だってわたし達ってそんな感じだった? わたし、いつも千にキツイこと言ってた記憶しかないんだけど」
「そー、ほんとたまに本気で傷ついてた」
「えっ、ごめん!」
「いーよ。いいんだよ。今宵のそれが本気でないことはわかってたし、そんな風に言ってくる女はいなかったから新鮮で面白かったし。いつも素直な今宵だから、好きになったんだ」
「……っ、知らなかった」
「だから言ってねーもん」
「……うん」
黙り込んで顔を伏せたわたしの前で、千がしゃがみこむ。
身長が高いから、そうでもしなきゃわたしの顔が見えないからだろう。


