あと一欠片のピース




そんなわたしの様子に眉を下げて、ふ、と笑う千。


冷静に考えてみると、千は素晴らしく整った顔をしている。


近くにいすぎてあまり気にしていなかったけれど、こんなにも格好いいのに千が失恋だなんて。



「それでさあ、その子が好きなやつ超格好いい奴なんだよ。男の俺でも嫉妬しちゃうくらい、格好いい奴なんだよ。絶対俺に振り向いてくれないのわかってたんだ。だから俺、その子に告らないって決めてずっとしまいこんでたんだよね」



千も自分と同じことをしていたことを、今初めて知った。


だって千はいつも王子様みたいにキラキラしていてみんなの太陽で、光で、わたしには眩しすぎたから。


眩しくて、羨ましかったから。


失礼だけれど、悩みなんてなくてお気楽に毎日楽しく生きているものだと勝手に思い込んでいた。



「だからさー、俺のことなんて誰もちゃんと見てくれてないって思ってたんだ」



すかさず「わたしがいるよ」と言おうと口を開くと、千の手で口を塞がれて首を振られた。



「でもね、いたんだよ。俺のことちゃんと見てくれてた人」



嬉しそうに、でも少し淋しそうに、でも硬くはなく自然と千が笑う。



「1人で苦しくても、きっとどこかで誰かが見てくれてる。そういうものなんだよ、今宵」


「うん、…そうだよね」



それは真尋からの手紙でさっきわかったことだった。


そして、千からの言葉で完全に肯定された。