ねえ、千がパズルさん、なの?
そう問いかけるように彼を見つめるわたしだが、肝心の言葉が口をつかない。
緊張してるのだろうか。
本当に、声が出ない。
口をパクパクさせていたわたしにくすりと笑って、千はわたしの手を引いてフェンス前の手すりまで連れてきた。
わたしを隣に置いて、千は空を仰ぐ。
「青、だな」
「……うん」
真尋がいなくなった時と同じ青。
雲ひとつない空は、きっとあの時と同じ青。
しばらく2人して空を仰いだまま無言でいたが、その沈黙を破ったのは千のいつもの陽気で明るい声だった。
「俺な、今宵に聞いてほしいことあんだよなー」
「ん?」
「聞いてくれる?」
「うん」
頷くと、千は口元を軽く緩ませて、それから話し始めた。
「俺、ずっと好きな人がいたんだ」
「え、まじ!?」
「まじまじー」
「知らなかった…」
「だって言ってねーもん。でさ、その人、好きな人がいてさ。本人は隠してたみたいだけどバレバレなんだよな。で、要は俺は完全に失恋してんじゃん」
「……うん」
思っていたよりも深刻な恋のお話で、ちょっと言葉が詰まる。


