くしゃくしゃになっていない綺麗な手紙の真ん中に大きな字で書かれた文字。
『やっぱり真尋、今宵がいなきゃ寂しい』
その字を柔らかな楕円がくるりと線を引いている。
一雫、紙に水が落ちた。
頬に触れると涙が流れた跡があった。
そこで初めて自分が泣いているのだと理解した。
もしかしたら、真尋はずっとわたしと同じ気持ちだったのかもしれない。
真尋の親友を名乗っていた自分だからこそ、真尋の恋のために真尋から少し離れたけれど、それは正解ではなかったのかもしれない。
わたしは真尋と一緒にいても、良かったのではなかろうか。
恋愛よりも友情を優先しても良かったのではなかろうか。
それも一種の青春であり、真尋との時間を大切にすべきだったのではなかろうか。
もしくは真尋と共に、一緒に彼に恋をしても良かったのではなかろうか。
時にいいライバルとして、時に情報共有をして、と恋愛を楽しめたのではなかろうか。
「……足りなかった」
そう、足りなかった。
決定的に足りなかった。
「真尋と話す時間が、足りなかった」
もっと話さなければならなかった。
親友だからといって、言わなくても全てわかるわけではない。
言わなきゃわからないことがある。
言わなきゃ上手く進まないこともある。
言わなきゃいけなかった。
自分の想いを、怖がることなく、全て。
言わなかったから、歪んでしまったのだから。


