「ありがとう、ございます」
恐る恐るではあるものの、その紙の束を受け取ったわたしは、どうしたものかと手にとったまま、また固まってしまう。
「中見てみて。それ今宵ちゃんだけが見る資格があるもので、今宵ちゃん宛で、今宵ちゃんが見るべきものだから」
「……」
先輩の言い草に、ますます正体が怖くなる紙の束。
そこで先輩が気を利かせたのか「じゃあ、俺は行くよ」とひらり手を振った。
「え、待ってください」
「多分それ、1人で読んだ方がいいと思うんだよね」
「え?」
「てことで、ばいばい。部屋の隅っこにあったのを見つけ出したものなんだから、ちゃんと読んでね」
「ちょっと先輩…」
「今宵ちゃんのおかげで大分気持ちが軽くなって救われたよ、ありがとう。休みの日に呼び出してごめんね。じゃ、またね」
「えええ……」
ビクビクしてた割に何故かあっけなく終わった先輩との会話と、軽い足取りで去って行く先輩の後ろ姿、それから今自分が手にしている紙の束には戸惑いしかなかった。
さっきから先輩に振り回されて戸惑ってばかりだ。
「……部屋の隅っこにあった、って?」
先輩の言葉を思い出して、ふと気がつく。
誰の部屋の隅っこ?
………ああ、そういうことか。


