あと一欠片のピース





びくり、肩が上がる。


覚悟を決めてここにいるのに、なんて情けないのだろう。


情けなくても何でも、怖いものは怖い。


そういうもんだ。


しっかりと先輩に向き合わなきゃならないのは、わかってる。


怖がっているようじゃダメなのもわかってる。


だけど、先輩に何かされてもおかしくないことをしたのだと自覚していて怖いことを言われるかもしれないと本能でそう感じるのだから、怖がることは仕方ない。


そんなことを思っているようじゃ、わたしは先輩に向き合えないのかもしれない。


だけど、少し怖がるくらいは許して。


自分勝手にそんな懇願をすることは許されないかもしれないけれど、どうか許して。


それを上回るくらい申し訳ないと、本当に心の底から思っているから。



肩が上がったまま静止していると、先輩が横に来たことがわかった。


そして、ふと視界の端に先輩の手が勢いよく振り上がったのが見えた。



殴られる……!



怖さに防衛本能が働き、手で顔をガードし肩がさっきよりももっと上がり、終いにはぎゅうと目が瞑られた。



「ごめんなさいっ!!」



奇声にも近いわたしの大声が、体育館中に響き渡った。