「あ、ごめん今宵。ちょい待ち」
「んーいいよ」
茜が電話に出て「もしもーし?」と相手の応答を待っている。
わたしはというと、茜のことは気にせずカバンをごそごそと引っ掻き回していた。
もしかしたら、今までのパズルさんからの手紙を持っているかもしれない。
「お、あった!」
パズルさんからの手紙がまとまって全部入れてある薄紫のちょっと厚みのあるファイルを取り出す。
そういえば、昨日はわたしだけしかいない教室でパズルさんからの白い封筒を前に眠気に勝てなくて寝ちゃったんだっけ。
せっかく1日1日届けてくれてるのに、なんだかパズルさんに申し訳ない。
パズルさんごめんね。
忘れていたわけではない、から、許してね。
「これまでは、えーと〝今宵貴女の…頂きに参ります〟だっけ」
わたしの何を持っていくのだろう。
真尋を不幸な目に合わせてしまったわたしは、やっぱり何もあげられるものがないのに。
真っ白の封筒を開けてみせる。
瞬間、毎度お馴染みの柔らかい香りに包まれる。
「これ何の香りなんだろ」
とてもいい香りですごく好きなのだが、こんな香りをかいたことはない気がする。


