茜がきょとんとした顔をする。
わたしは立ち上がり、何を着ようかとクローゼットを開けた。
「行くって、どこに」
「屋上に」
「どこの?」
「学校の」
「え、先輩に会いに行くの? え、今宵1人で行ける?」
「なーに、ばかにしてんのー?」
「は、違えし。心配してんだし」
さらりと出てきた茜の悪態がおかしくて、ふはっと吹き出す。
「わかってる。ありがとう茜」
「……うちも行く」
「だめ。1人で行かなきゃ、意味ない」
「でも、」
「じゃあ、1時間後。学校の屋上に迎えにきて」
服を選んだわたしは、それをクローゼットから引っ張り出した。
「うー……、わかった。でも学校まではうちも一緒に行く。これは譲らない」
「……うん、ありがと」
茜の優しさに思わず眉が下がる。
ありがたい。
ここまで心配してくれる友達がいてくれて、救われている面が確かにある。
ありがたいでは言い表せないほど、ありがたい。
「茜、準備終わった?」
「もう終わってる。うち準備するものないもん」
「じゃ、行こか」
渋々頷いた茜の手を握る。
手に汗握るわたしの手に、茜は一瞬目を見開いて、それからぎゅうっとわたしの握った。
わたしを支えてくれる茜の手があれば、わたしは頑張れる、そう思いながらわたしは家を出た。


