* 大好きな仕事を放り出して走るのは、 きみに会いたいだけ。 この狭い水槽から抜け出して きみのぬくもりに触れたいだけ。 * スタジオを出たのはちょうど6時だった。 ここからいちばん近い駅に向かう。 ほんと、どこに行っても人が多い。 そんなことを考えながら走っていた。 急いで改札を抜けてタイミングよくやってきた電車に駆け込む。 ガタンゴトン、電車はゆっくりと発車し、徐々にその速度をあげていく。 ……早く、早く。 腕時計と変わりゆく景色を見比べながら、気持ちは逸っていた。