嘘つき天使へ、愛をこめて



倒れるようにベットへ身体を沈めた。

柔らかいそれは、あたしの身体をまるごと包み込むように優しく受け止めてくれる。


「……憂鬱だ……」


本当に。なにもかも、どうでもいい。


生きていることに疲れる。

生というものに、拒絶感がある。


あたしはもう長くない。

世にいう余命宣告というものをされてから、早いものでもう五ヶ月。


この身体を自由に動かすことが出来るのは、あと一ヶ月が限界だ。

……いや、もしかしたら一ヶ月ももたないかもしれないけれど。


それでも、もういい。


あたしがこの地へ来たのは、月岡雅に会うためだったから。


雅がどんな人間なのか、どんな風に生きているのか、それを死ぬ前にひと目だけでも見たかっただけだから。


他に目的なんてないのだ。

言葉通り、あたしに胡蝶蘭をどうにかする力はないし、無論危害なんて加えるつもりはない。


雅だけではなく、唯織や玲汰、櫂に柊真という幹部の皆とも知り合えたわけだし、もう十分知らない世界を見れた気がする。

まだ、初日だけど。