嘘つき天使へ、愛をこめて


ケースの中から昼間も飲んだ薬を手に出す。

念のため2回分入れておいて正解だった。


……こんなの飲んだところで、別になにか変わるわけでもないんだけどね。


じっと尋常じゃない薬の粒たちを見つめ、自嘲を零してから口に放り込んだ。

水で喉の奥に流して、ふぅと息を吐き出す。


スープも合わさって胃の中がたぷたぷだ、なんてお腹を撫でてから、あたしはちらりと雅へ視線を向ける。


相変わらず真剣にパソコンを見つめたまま、あたしなんて気にもしてない様子だ。


そんな必死になにを見ているのやら。


「……雅、今日は泊めてもらうけど、明日は帰るから」


「ん、サリのしたいようにすればいい」


「スープ、ありがとね。……おやすみ」


使ったコップを処理し、雅が顔を上げてきょとんとしているのを横目で見ながら、あたしはそっと部屋を出た。


あたしが素直に『ありがとう』『おやすみ』なんて言ったから驚いたのかな。


そんなどうでもいいことを考えて、他の皆を起こさないように静かに階段をあがる。


相変わらず目に眩しい真っ白な部屋へ戻ると、不思議なものでなぜかホッとした。