「ごめんなさい、迷惑かけて」

「いや、突然倒れるからびっくりしたけど迷惑とか思ってないし。それより、体調は?」

「もう大丈夫。その……ちょっと風邪引いてるだけだから」


誤魔化してしまった。


「うん。熱も微熱だったし、病院連れていくこともないかと思って、勝手にここに寝かせちゃったんだよね。サリが倒れたってあいつら、騒ぎまくって大変だった。特に唯織」



ああ、確かに唯織は無駄に騒ぎそうだ。

とにもかくにも病院に連れていかないでくれて助かった。


九死に一生を得た、とはまさにこのこと。


「あの、雅?」

「ん?」


「あたし、ちょっと貧血気味で。だからまた倒れるかもしれないけど、別に大したことじゃないから。病院とか、ホント大丈夫だから」


「なに、サリ病院嫌いなの?」

「……まあ、うん、そう」


嫌い、嫌いじゃないの問題ではないのだけど、ここはそうしておく方がいいかと判断して頷く。