「じゃあ、こんなに汗かいて震えてるのは、熱のせい?」

「っ……」


違う。これはきっと、恐怖のあらわれだ。

でもそれを言ったところで、雅にはわからない。


この底知れぬ恐怖も、苦しみも。


あたしはもう一度首を振り、その優しさを拒絶するように小さく「……なんでもない」と答える。


本当は何でもなくなんかないのに。

けれど雅はそれ以上追及してくることはなく、数拍置いてから「そっか」と答え、手を離した。


「……あの、集会は」

「もう終わったよ。今、何時か知ってる?夜中の11時」


夜中の11時。

あたしがこの屋敷に着いたのは、確か4時半くらいだったはずだから、軽く6時間以上も意識を失ったままだったということだ。