「見ただけでも人となりとか、結構分かっちゃうんだよね。柊真とは違った意味で。役柄、状況判断が全てだから」

「……それが、なに」


声が震えないように保つのに必死だった。


あたしは大抵のことでは怯えたりしない。


今だって決して雅に対して、怯えているわけではない。


ただ、ガラスにヒビが入ったように視界が歪む。


ピキ、ピキ、と僅かに亀裂が入っていく。


心の奥底に封印したはずのそれが、雅の持つそれと共鳴しているかのように思い出したくない記憶が頭を駆け巡る。



『――お前さえ、いなければ』



いなければ。

……イナケレバ。


オマエサエ、イナケレバ。