「サリちゃん、家の人は大丈夫か?」
「え?」
「帰りは責任もって家まで送っていくけど、集会が終わった後だと多分遅くなるだろうからな。一応、親御さんに心配させないように連絡はしといた方がいい」
カップに紅茶を注ぎながら、気遣うようにあたしをちらりと見る柊真にくすりと笑う。
「柊真はやっぱりお母さんだね」
「は!?」
「大丈夫、あたし一人暮らしだし」
「はぁ!?」
え、そんなに驚くこと?
「柊真はお母さんっぽいじゃん」
「ちげえって!そこじゃなくて!一人暮らしって、どういうことだサリちゃん。こんな地区でサリちゃんみたいな子が一人暮らしなんて、襲ってくださいって言ってるようなもんだぞ」
有り得ない、とでも言いたそうな顔で目を見開いた柊真。
見れば、柊真だけじゃなくその場にいた全員……驚いたことに、今まで興味なさそうにしていた雅までもが呆気にとられたような顔をしていた。
「危ねぇ」
「危ないな。ダメだよ、サリちゃん」
なにが危ないって?
こんな族の基地内にいることが、一番危ないんじゃないかと思うんだけれど。
そんなあたしの心情を読み取ったのか、雅がまた面白そうに小さく笑った。



