嘘つき天使へ、愛をこめて



それでいて、どこか大人な雰囲気も併せ持っているところから、なるほど、総長の名は飾りじゃないらしい。


黙っていてもこちらを威圧してくるような、この圧倒的オーラは総長でもないと出せやしないだろう。


なんとなく、清水先生と似ているような気もするけれど。


統率力と戦闘力というよりは、センスの問題なのかもしれない……と頭の片隅で思いながら、あたしは取り繕うようにかぶりを振って見せた。



「風の噂で」


「ふうん?その通り、我が胡蝶蘭の総長様だよ。で、その隣にいるこの黒髪クールなキテレツ男子が新嶋櫂(カイ)くんね」


「キテレツじゃねぇ。ダサい」


「この通り、櫂は怒らせたら怖いから気をつけてね、サリちゃん。沸点が低いんだ。すぐ怒んの」



ぺらぺらとメンバー紹介をし出した唯織に、寝ている玲汰を除いたその場の全員の顔に陰りがさした。


いや、待ってキミなんなの。


自由人なのか、それともただ単にあたしが個人的に気に入ったのかは分からないけれど、あまり勝手なことをされては困る。


総長とは直接絡まずにいようと思っていたのに、これでは最初から計画がぶち壊しだ。