" 女 "なら誰でもいい。


そんな醜い欲を隠すこともせず、彼らは瞳をギラギラとさせながらこちらに近づいてくる。


……めんどくさいな。


目の前の餌に気を取られて、相手が弱いと決めつけ襲う。


その様子は、まるでサバンナにいる猛獣のようだと思った。


気持ち悪い。

その目も、このタバコと酒の匂いも。


こんな輩ばかり、世の中には溢れているのだろうか。


「どうしようもないよね。ほんと」


そう冷たく見据えて、小さく息を吐いた。


「……ひとつ、聞いていい?」


あたしの静かな声が凛と響き渡る。

ふわりと冷気にさらされて、口から白い靄が零れた。


怯えた様子ひとつ見せないことに驚いたのか――はたまた突然放たれた冷気のような気迫に怖気付いたのかはわからないけれど、男たちはピタリと立ち止まる。