嘘つき天使へ、愛をこめて



……唯織、だっけ。


蜂蜜のような色をした金髪に銀のリングピアス、制服はワイシャツではなく、くまのゆるキャラが描かれたパーカーを着ている。


前髪を上げているからか、可愛らしく明るい印象だが、その顔はとても均整がとれていて驚いた。


そのどこかあどけなく幼さが残る顔立ちは、高校生というより中学生に見えなくもない。


これを所謂、イケメンというのだろうか。


興味津々と言ったようにこちらを見つめる、女の子のようなクリクリとした大きな瞳。


動物に喩えるならワンコかな。確実に。


「君、誰?」

「雫井サリです」


さっきも言ったんだけど、と口走りそうになってギリギリで飲み込んだ。


単刀直入というよりも、たぶん後先なにも考えずに口に出しちゃうタイプの人なんだろう。