「席は……そうだな、唯織(イオリ)の隣が空いてるか。あの金髪ピアス……じゃわかんねえな。おい唯織」
「へっ?俺?」
「おお、雫井サリ、今喋ったヤツの隣に座れ」
先生の言葉に素直に頷き、あたしは席の間を通り抜け一番後ろの真ん中の席へ。
そこはちょうどあたしを警戒していた彼らの真横で、絶対に意図的だろうなと思わせる席選びだった。
ポカンとこちらを凝視する唯織という名前の彼に「よろしくお願いします」と会釈をすれば、瞬時に視線を逸らされ、さすがにむっとする。
失礼な。挨拶したのに……。
「じゃあいいな。朝のホームルームはこれだけだ。授業はちゃんと受けろよー」
「「「う、うっス!」」」
あの人見るからに教師やる気ないな。
対してこの生徒の服従感。
さすがにこれだけ男が集まってると気持ちが悪いというか、男くさいというか、最高に居心地が悪い。
用がないなら意味もなくこっちを向かないでほしい。
「ねえ」
「え?」
思わず睨みを効かせそうになった寸前でかけられた声に、ハッと我に返ってそちらへ顔を向ける。



