「……雫井サリ」
「はい?」
「……お前の、目的はなんだ」
爽やかそうなその顔と口調が、一瞬にして変貌する。
先生は隠すこともなく敵意を発して、真っ黒な瞳であたしを見下ろした。
あたしが普通の女の子なら、きっとここで腰が抜けるか泣き出すかしてしまうだろう。
……けど、残念。
あたしに怖いって感情はもうないんだ。
全く怯まずに唇のはしを僅かに持ち上げて見せると、先生は気味が悪そうに眉根に皺を寄せた。
「教えない。……でも、そうだね。少なくともあたしは胡蝶蘭に対して特別敵意を持っているわけじゃないかな」
「……それを信じられる要素がどこにある」
「信じるか信じないかはそっち次第だよ。ただ、あたしに遊んでるヒマはないの。こうやって先生と話してるのも……時間の無駄だと思うくらいにね」
そう、時間がもったいない。
こんな所で先生と話しているくらいなら、早く教室に行ってその実態を確かめたいもの。



