ああもう、うるさい。


生憎、ただ自分を強く見せようとしているだけの弱い人間に怯えるほどあたしも弱くないんだよ。


族に入るわけでもなく、こんなところで毎夜毎夜溜まってる不良の力量なんて、たかが知れてるし。



「お?なんだ、男かと思えば女じゃん。まぁちょっとミニサイズだけどー……自分から入り込んできたんだしぃ?」


「自業自得だよなー」



口の端をいやらしく持ち上げて、こちらへ近付いてくる数人の男たち。


黒いローブに全身を包み、さらにはフードを被っているため、あたしの容姿は口元しか見えていない。


それにこの暗さでは、分かるのはせいぜい背丈くらいだ。


小柄な体と声で女だとバレてしまったらしいけれど、まあこれくらいは想定済み。


別にこのローブを脱いだっていい。


あたしがここで襲われても、返り討ちにすればいいだけ。


怖いほど冷静な自分に嘲笑し、今度はそれをあたしを舐めるように見てくる男たちへと向けた。