「どちらにしたって、いずれは俺が貰いますよ。オトーサン」

「お、おとー……!?やっぱダメだ、サリ!こいつはやめとけ!お、オトーサンとか虫唾が走る!背中が痒い!いやむしろ痛え!」

「それただの歳だから」


あたしがキレよく突っ込むと、大翔は目に見えて落ち込んだ。

しょぼんと肩を落とし、壁に向かってぶつぶつと何か呟き始める。


「騒がしい父親になりそうだな」

「まあ、それもありだろう」

「ていうか、雅と大翔さんだけずるいー!俺たちもサリっぺの家族になるー!」

「……もう、家族だから」


柊真、櫂、唯織、玲汰。

みんなと出逢えて、あたしは幸せだった。

これから先、きっと辛いこともあるけれど、こうして皆がいてくれれば笑顔が絶えることはないんじゃないかって思える。


きっと、大丈夫。

あたしたちが揃えば最強だ。


胡蝶蘭の皆は、家族そのものだから。

いつだって助け合って生きていけばいい。


「あたし、みんなのこと大好きだよ」


甘い胡蝶蘭の香りを纏わせて。

部屋にはまた、柔らかな太陽の日差しのような温かい笑顔が溢れんばかりに咲いた。