「サリには言わなかったが……お前がうちで暮らすようになってからずっと、準備はしてたんだよ。あのクソ親父を捜し出したりな」
「は、え、なにどういうこと」
「まぁ色々大人の事情ってもんがあんだって。養子縁組って色々複雑なんだよ。親権がどーの法律がどーの、ってな。でも今のままじゃいけねぇだろ。せめてサリの身の上がちゃんと保証されるまで固めねぇと、俺は永遠とサリを甘やかせることになるし。まぁそれも俺はいいんだが」
「ちょっと、甘やかせるってなに」
「そこ食いつくな」
でも、そんな簡単に受け入れられるようなことじゃない。
確かに今までだって散々大翔にはお世話になってきたし、それこそ親子というよりは兄妹のような関係だったけれど、養子だどうのだと言われたらまた話が違ってくる。
「とりあえず、サリはまだ未成年だし、養子としての手続きはまだ時間がかかっちまうとは思う。でも、必ずお前を俺の養子にする。もう少し待っててくれねぇか、サリ」
そんなことを言われたって、と戸惑うしかないあたしは、困惑する頭で考える。
……あたしにはよくわからない。
だってそんなの考えたことがなかったから。
大翔の責任だって、比じゃないだろうし。



