「変わったよ、なにもかも」
「ほんとに、変わった?」
雅は頷く。
「君がいて俺たちはやっと笑顔になる。今の胡蝶蘭にはサリが必要不可欠だ。それが家族ってもんだろ?」
「家族かぁ」
確かに、家族みたいな存在ではあるけど。
少し迷ってから、はにかむようにして雅の手を取る。
「あたし、雅とほんとの家族になりたい」
その瞬間、大翔が盛大に噴き出した。
雅は雅でぽかんと口を開けている。
そこまで驚かなくても、と思いつつ、あたしはピンクの胡蝶蘭を見つめる。
「言いたいことは、もう我慢せずに言うって決めたの」
いつどうなるか分からないからこそ、伝えたいことは飲み込まずにぶつける。
恥ずかしいことなんてない。
だってほら、この胡蝶蘭だって真っ直ぐに想いを伝えていても、こんなにも綺麗に咲いているんだから。



