ただでさえ、脳腫瘍を抱えながらこんな衝撃を食らったら、もうたまったもんじゃない。
あたしの短い寿命が三日縮んだかもしれない。
「もう、ほんと、なんなのこの世界」
ふらふらと立ち上がり、あたしは何故かへっぴり腰になっている男達を見据える。
首筋に、生暖かいものが垂れていくのが分かった。
気持ちが悪くて、ローブを外し落としながら、深い溜息をつく。
この世は理不尽だ。
いつだって、あたしの敵。
ならなんで、どうしてあたしはこの世に生まれてしまったんだろう。
唯一味方だった母親は亡くなり、残った父親にも捨てられ、挙句病気になって死ぬ。
波乱万丈にもほどがある。
あたしがいったいなにをしたの?
なにか悪いことでもした?
死して償わなければならないような何かを、あたしはこの十七年間でしてきたの?



