「とりあえずぅ……人質?手荒な真似、しちゃってもいい系?生意気だしぃ……あー、でも怪我なんかさせたら君んとこの悪魔が怒りそうだなぁ。ま、その時はその時かー」
「どうでもいいけど、貴方ひとり言多いね。もしかしてあたしに話してる?ごめん全然聞いてない。興味無いし」
そのしれっとした言葉と態度に、その男はかっと頭に血が登ったらしい。
なにやらぎゃーすかぎゃーすか騒いでいる。
倉庫の壁にぶつかって跳ね返ってきた音がぶわんと響き、耳が痛い。頭も痛い。
ほんっとうに、うるさい。
「もう、ほら!お前らぁ!黙って突っ立ってないで、早くその生意気な小娘をヤれ!」
「「う、うっす!」」
そして、一斉に襲いかかってくる。
素手やら鉄パイプやら、まあまあそれは物騒なことで。
あたしは深く長く溜息をつくと、その場に鞄を落として地面を蹴った。
カーン!
その瞬間、あたしが今いた場所に鉄パイプが強く叩きつけられていた。
地面はコンクリート。
白く叩きつけられた跡が残っている。
うわぁ、なんか本気であたしのこと殺ろうとしてる?
病人相手に?この数で?しかも鉄パイプ?
いやいや、慈悲もない悪魔って、雅じゃなくてこいつらの間違いじゃない?