「……どうする、雅」


櫂の堅い声が静まり返ったリビングに響く。


「恐らく向こうは俺らを待っているだろう。いつだって隙とあらば潰そうとしてくる奴らだからな。全軍構えて開戦準備でもしているかもしれない」


「……確かに、ないとは言えないな」


でも、と雅の視線があたしの方へと向いて、ばちりと目が合った。


瞬間的にあたしはぞわりとしたものを感じて、顔を強ばらせる。


「……ガキ共はどんくらいで収集がつく」

「20分ってとこだな」

「遅え。10分で集めろ、櫂」

「無茶を言うな」


雅の声のトーンが、尋常じゃないほどに低い。

纏うオーラも闇に染まっている。


スイッチが入った、の……?

感じるのは自分と同じ真っ黒な何かと、それに準ずる恐怖の塊。

あたしは思わず生唾を飲み込んだ。